「我々の身体が、どうやって維持され、恒常性が保たれているのかを理解したい」と語るのは、奈良先端科学技術大学院の伊東広教授。学内制度の構築にも熱心に取り組む先生は、「この大学の研究・教育環境は非常に恵まれている」と語る。
「純粋にやっていて楽しい。それが今の研究の魅力ですね」と話すのは、博士後期課程3年・永井裕介さんだ。魅力的な研究テーマ・環境を求めて、いくつもの大学院を検討した結果、奈良先端科学技術大学院大学にたどり着いた。現在は、伊東教授のもとで細胞内のシグナル伝達の仲介分子『Gタンパク質』の調節メカニズムを研究している。

アフリカの乾燥地帯、日差しが厳しい中で育つ野生種スイカ。この特殊な環境に存在する植物の研究に別々の視点から魅力を感じ、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)での研究に行きついた2人の研究者がいる。分化・形態形成学講座助教の宗景ゆりさんと博士後期課程2年の三田智子さんだ。

論理的に納得できないことに対しては、ときに相手の主張を根本からひっくり返してしまう。そんな自分自身を「かき回し屋」と称する児嶋准教授は、研究にもキャリアにも1本の筋を通してきた。34歳という若さで准教授として奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)に赴任した彼は、どこまでいっても満足することのない探究心を持っている。

「株が好きで、金融系の企業に内定が決まっていたんです」。学部3年で早々に就職活動を一段落させ、あとは卒業するだけ。そんな優秀な学生が研究の面白さに付いてしまったのは、4年生で研究室に配属されてからだった。研究のことになると目をきらきらさせながら話すのは、奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)で酵母を研究する修士課程2年の西村さんだ。
シロイヌナズナの鉢を横に倒して置く。その数十分後には、茎の根本が曲がり、何事もなかったかのように、先端を上に向けている。重力という外部因子に対して、速やかに応答するシステムが植物には備わっている。植物の環境応答の本質を明らかにしたいと考える中村さんは、植物の重力屈性を軸に本質へと迫るアプローチを始めた。
2004年9月、数十名の欧米の研究者を中心に、「ノックアウトマウス・プロジェクト」が提唱された。マウスの全遺伝子について、各遺伝子を破壊したノックアウト(KO)ES細胞株コレクションを作り、必要なときに研究者がいつでも無料で使えるようにするものだ。この世界的なプロジェクトを促進する技術が石田准教授らによって開発された。
「ドクターコースに入ってから、自分で研究しているという実感が持てるようになりました。毎日がどんどん楽しくなっています。進学して良かった」。弾ける笑顔の神谷さんには、今、自信が宿り始めている。
大学院では『新しい疑問を見つける力』を養いたい」。そのために、多くの人と交流し、広い視野で物事を捉えることが必要だと宮島さんは考える。緊密な研究室間のつながりを持つ奈良先端科学技術大学院大学(NAIST)の環境が、宮島さんの成長を後押しする。
たった1個の受精卵が分裂し、均質な細胞の集まりからやがては様々な形の組織へと分化していく。対称から非対象への構造変化。生き物の中で起こるこの複雑なメカニズムについては今でも謎が多い。「この謎が解ければ生き物の形づくりの神秘を暴けるのではないか」。そう心を躍らせているのが稲垣准教授だ。神経細胞の極性形成メカニズムの解明を通じてその不思議に追っている。
2007年、日本から世界へ、研究者を興奮させるような発表があった。その研究の中心にいたのは、玉置祥二郎さん。右も左もわからない研究分野に入って、 6年。たった6年で、世界を驚かせるような成果を出せたのは、実力はもちろんのこと、一から学べるしくみと支えてくれた人たちのおかげであった。